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院長BLOG

骨粗しょう症の治療は整形外科の診療所で

2012.10.26 カテゴリー|トリガーポイント注射

86歳の女性

骨粗しょう症と腰痛(右臀部痛)で某総合病院に通院中の方です。

 

4日くらい前に、少し躓いてから、右臀部痛がひどくなり当院を受診しました。

レントゲン上、骨折などの異常はなく、右中臀筋の筋痛症と診断し、トリガーポイント注射を打ちました。

3回目のトリガーポイント注射を打った後から、痛みはすっかり消え、それまで飲んでいたトラムセット(難治性疼痛治療薬)を飲まなくても、平気になり、大変喜んでいました。

 

このおばあちゃん、以前から、痛みがひどくなった時だけ、当院を受診していて、痛みが落ち着いているときは救急外来もある某総合病院に通院しています。

でも、それって、診療所や救急病院の役割を考えると逆ですよね。

慢性期の状態が落ち着いている患者さんを地域の診療所が診て、急性期の緊急の処置が必要な患者さんを救急病院が診るというのが、本来の役割です。

 

骨粗しょう症の治療は、基本的に骨粗しょう症治療薬の内服か注射して、定期的に骨密度を測るだけなので、総合病院で治療を受ける必要はありません。

混んでいて、何時間も待たされる総合病院ではなく、近くの整形外科の診療所で治療をうけましょう。

 

骨粗しょう症

http://www.joa.or.jp/jp/public/sick/condition/osteoporosis.html

膝の内側の痛みは、内側広筋のトリガーポイントが原因

2012.10.25 カテゴリー|トリガーポイント注射

76歳の女性

2年前から、両ひざ痛があり、近くの整形外科で、温熱療法と薬の処方を受けていましたが、全然よくならないため、当院を受診しました。

レントゲン上、両ひざに変形性関節症を認めました。

正面像8088.jpg

触診で、右内側広筋に圧痛点を認めたので、圧痛点にトリガーポイント注射を行いました。

 

5日後に再診したさいには、膝の痛みはだいぶ良くなっていて、階段の上り下りができるようになったと喜んでいました。

 

膝の内側の痛みを訴えてくる患者さんのほとんどに、内側広筋の圧痛点を認めます。

レントゲン上の異常の有無にかかわらず、圧痛点にトリガーポイント注射をすると痛みが改善します。

 

 

 

トリガーポイント注射をしたら、湿布が効くようになった。

2012.10.25 カテゴリー|トリガーポイント注射

88歳の女性の方です。

10年前から腰痛と左下肢痛があり、某総合病院で「腰部脊柱管狭窄症」と診断され、湿布による治療を受けていました。

 

10月中旬に、急に左臀部から左下肢外側にかけての痛みが悪化し、歩けなくなり、4日後に当院を受診しました。

上図のように、左小殿筋にトリガーポイントを認めたため、トリガーポイント注射を行いました。

内科から、薬をたくさんもらっているので、内服薬は出しませんでした。湿布もたくさん持っているので、外用薬も出しませんでした。

週末をはさんで、三日後に再診した際には、痛みはほとんどなくなっており、普通に歩けるようになっていました。

そして、

「今までは湿布を貼っても、痛みは変わらなかったけど、注射してから湿布がよく効くようになった。」

とおっしゃっていました。

 

強い痛みや慢性の痛みには「痛みの悪循環」という現象が起きます。

【痛み】⇒【肉体的・精神的ストレス】⇒【交感神経が興奮】⇒【局所の血流が悪化】⇒【痛みがさらに悪化】

「痛みの悪循環」が起きているときは、通常の痛み止めや湿布では痛みが止められないことがあります。

この患者さんの場合、トリガーポイント注射で「痛みの悪循環」を止めたことにより、今まで聞かなかった湿布が効くようになったのでしょう。

ビオチン療法の有効性

2012.10.15 カテゴリー|ビオチン療法

当院でビオチン療法を1か月以上受けた患者さんは27名です。

27名中23名に皮膚症状の改善を認めました。

皮膚症状が改善しなかった患者さんのうち3名は禁煙できなかった患者さんです。

1名は皮膚症状が悪化したため、中止しました。(原因は不明です。)

27名中10名に掌蹠膿疱症性関節炎を認めました。

10名中9名に関節炎症状の改善を認めました。

関節炎症状が改善しなかったのは、やはり禁煙できなかった患者さんです。

 

皮膚症状は手のひらからよくなる患者さんが多いようです。

手のひらがよくなっても足の裏がなかなか良くならない患者さんも数名います。

関節炎の症状は、ビオチン療法を始めると、1週間くらいで良くなる患者さんが多いようです。

喫煙を続けていたり、受動喫煙が避けられない患者さんは、ビオチン療法をしてもあまりよくなりません。

 

ビオチン療法を始めたきっかけ

2012.10.15 カテゴリー|ビオチン療法

当院では、掌蹠膿疱症に対してビオチン療法を行っています。

https://nishibori-seikei.com/biotin/index.html

 

当院では皮膚科の診療も行っていますが、僕の専門は整形外科です。そんな僕がビオチン療法を始めたきっかけについて書きます。

 

10年以上前、まだ勤務医だったころ、掌蹠膿疱症性関節炎による動けないほどの激痛で、50代の女性が入院してきました。

掌蹠膿疱症性骨関節炎http://www.nmnweb.net/wadai/11.html

 

当時、掌蹠膿疱症性関節炎に対する有効な治療法は知られていなかったので、痛み止めの投与や、関節内ブロック、神経ブロックなどで対症的に治療を行っていましたが、激痛がなかなか良くなりませんでした。そんなある日、患者さんの息子さんがインターネットでビオチン療法について調べてきて、ビオチンを処方してほしいと頼んできました。

 

その時、僕にはビオチンに関する知識が全くなかったので、急いで医局に戻って、インターネットでビオチンについてググってみました。

 

そこには、ビオチンはビタミンの一種であること、副作用はないこと、東北大学の内科出身で秋田県本庄第一病院に勤務している前橋賢先生が掌蹠膿疱症に対するビオチンの有効性を発見したことなどが書いてまりました。

 

「ビタミンで副作用もないみたいだから、まあいいか」と考え、その患者さんにビオチンを処方したところ、1週間くらいで激痛がなくなり、歩けるようになりました。

 

動けるようになったので、患者さんの希望もあり、秋田県の前橋先生に紹介状を書いて診察してもらいました。前橋先生からのお返事で、ビオチンのほかに整腸剤やビタミンCを処方したほうがよいことを教えていただきました。

 

以来、ビオチン療法を続けています。

 

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