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右上腕骨近位骨幹部骨折の少女の治療

2012.11.12 カテゴリー|骨折・捻挫の治療

9歳の少女

 

学校の鉄棒からおちて受傷しました。救急病院を受診して、骨折しているので三角巾固定され、整形外科を受診するように言われ、2日後に当院を受診しました。

 

上が、初診時のレントゲンです。上腕骨が上から6cm位のところで折れていて少し曲がっています。このままくっつけば、問題ないので、整復や手術をせず、このまま保存的に治療しました。三角巾はつっていると首が痛くなるのではずして、ストッキネットとスポンジで自作したスリングで固定しました。

 

10日後に再診した際、痛みはなく、レントゲン上も転位を認めなかったので、スリングを外して、右腕を自然に垂らしてもらい、自動拳上(自分の力で右腕を上げること)のみ禁止しました。また、自宅で振り子運動をするように指導しました。

 

振り子運動http://www.4050kata.net/ch4/iron.htm

 

5週間後のレントゲンで仮骨が十分に形成されていたので、自動拳上も許可しました。

 

7週間後のレントゲンで、骨癒合が十分であり、動きの制限もないことを確認し、治療を終了としました。

6週間後8005.jpg

 

 上腕骨に近位部骨折では、脱力して重力に逆らわずに腕を垂らしている状態が、骨折部に一番負担がかかりません。逆に、自分の力で腕を上げようとすると、てこの原理で骨折部に強い力が加わり、骨がずれてしまいます。なので、上腕骨骨折の治療においては、骨がつくまで腕を自分で上げないようにしてもらうことが大切です。そのかわり、力を抜いた状態でいられれば、ギプスや三角巾などで腕を長期間固定する必要はありません。

 

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