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「風邪薬を早く飲めば、風邪は早く治る」は迷信

2012.11.16 カテゴリー|医療に関する迷信

テレビCMで「早めにパブ〇ン」なんてキャッチコピーが喧伝されているので、「風邪薬を早く飲めば、風邪が早く治る」と思っている方がたくさんいますが、これは迷信です。

 

皆さんも、ご存知だとは思いますが、風邪の原因はウイルスです。風邪薬を飲んでもウイルスは死にもしなければ減りもしません。風邪のウイルスを殺したり減らしたりする薬はこの世に存在しないのです。風邪薬は、風邪に伴う「せき」「たん」「鼻水」「のどの痛み」「熱」などの諸症状を押さえる効果しかありません。なので、風邪薬を早く飲んでも、風邪が早く治ることはありません。

 

体の中で風邪のウイルスに対する免疫反応が起きて、ウイルスに対する抗体が作成され、抗体がウイルスをやっつけてくれなけば、風邪は治りません。抗体がウイルスをやっつけてくれるまで、数日から数週間かかるので、その間は、薬を飲んでも、風邪は治りません。

 

免疫力を高めると、抗体が早くできて、風邪が早く治ります。免疫力を高めるには、布団にくるまって体を温めて、安静にして、消化の良いものを食べることです。体温をつくるためのエネルギーや、運動や労働で筋肉を動かすためのエネルギー、食物を消化するためのエネルギーをなるべく節約して、その分のエネルギーを免疫反応のまわすことで、抗体が早く作られるのです。

 

市販の風邪薬は「総合感冒薬」といって、咳止め薬・たんを切る薬・鼻水を止める薬・のどの痛みをとる薬・熱を下げる薬など、たくさんの薬が配合されています。風邪の症状が、「せき」と「のどの痛み」だけなのに、総合感冒薬を飲むと、不必要な「たんを切る薬や、熱を下げる薬」を飲むことになります。不必要な薬を飲むことは体にとって有害でしかありませんから、市販の風邪薬を飲むことはあまりお勧めしません。

 

当院では、風邪の患者さんに対しては、それぞれの症状にあわせてお薬を処方しています。「せき」には「咳止め薬」、「熱」には「解熱薬」、「寒気」には「葛根湯」などです。でも、一番と治療は布団にくるまって寝ていることです。

 

「風邪薬を早く飲めば、風邪は早く治る」というのは迷信です。

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