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院長BLOG

鎖骨遠位端骨折に対する保存療法がうまくいかなかった3症例

2014.6.09 カテゴリー|骨折・捻挫の治療

 前回紹介した鎖骨ベルトと弾性包帯を使用した保存療法が、うまくいかなかった症例を3例経験しています。

 

 1例目は、精神科に入院中の60代の男性でした。外固定を勝手に外してしまうため、骨癒合が得られませんでした。経過観察中に、折れた鎖骨の先端が皮膚を内側から破り飛び出してしまいましたが、飛び出した部分を削ることで、創はふさがり、その後は特に支障なく入院生活を送っています。

 

 2例目は、80代の女性でした。受傷後3週間以上経過してから治療を開始した症例です。鎖骨ベルトと弾性包帯による治療を6週間行いましたが、骨癒合は得られませんでした。しかし、骨折部は軟部組織によって固められ不安定性も、痛みもなく日常生活には困らない状態に回復しました。

 

 3例目は、30代の男性でした。鎖骨バンドと弾性包帯で固定しましたところ、縦方向のずれは整復できましたが、横方向のずれが整復できず隙間が空いていました。鎖骨遠位端骨折が横方向にずれることはあまりないため、不思議に思って良くレントゲンを見てみたところ、胸椎に側弯を認めました。側弯で胸郭が左右非対称になっているため、鎖骨バンドをつけてもうまく整復できなかったようです。この方法で治療することは難しいことを説明し、手術ができる病院に行っていただきました。

鎖骨遠位端骨折の治療

2014.6.09 カテゴリー|骨折・捻挫の治療

 30代の女性

 自転車で転倒して受傷しました。近くの病院でテント言をとり鎖骨が折れていると言われ、鎖骨バンドと三角筋による固定を受けました。1週間後レントゲンを撮った後に「手術をした方がいいかもしれない」といわれ、不安になりネットで調べて当院のブログを読み、受傷より13日後に当院を受診しました。

 受診時のレントゲンです。鎖骨遠位端骨折を認めます。

10461a.jpg

 わかりにくいので、拡大して、骨折している部分を強調してみました。骨折部分は5㎜ほど離れています。

10461b.jpg

 鎖骨バンドと弾性包帯による方法で骨折部を整復外固定した後のレントゲンです。ほぼ元の位置に整復されています。

10461c.jpg

 その後の経過は良好で、4週間後に弾性包帯を外して鎖骨ベルトだけにし、入浴時は鎖骨ベルトも外すことを許可しました。

 6週間後、骨癒合が得られたので、鎖骨バンドを外しました。外固定中も痛くない範囲で肩をどんどん動かしてもらっていたので、可動域制限もなく、リハビリの必要はありませんでした。

 

鎖骨遠位端骨折に対する保存的治療法

https://nishibori-seikei.com/blog/2013/11/post-340.html

 

 

捻挫って、案外しないもんだなぁ

2014.6.05 カテゴリー|その他

 昨日の午後は休診だったので、午後のスループレーでゴルフをしてきました。

 ラウンド中、土手を下っていた時に草に右足が引っ掛かって、内側にぐにゃっと曲がり、そのまま転倒しました。脚がぐにゃっと曲がった瞬間、「これはやばい、折れる!少なくともひどい捻挫になる!」と思いましたが、立ち上がってみたら全然痛くありませんでした。ゴルフ中でアドレナリンが出まくっているせいかとも思いましたが、ラウンド終了後も痛くなりませんでした。ひねったときに、下手に踏んばらずにそのまま、ひねりが戻る方向に転んだのがよかったのかもしれません。

 捻挫って、案外しないもんなんだなぁと思いました。

人口当たりの医師数が多く、一人当たりの年間医療費が高い都道府県ほど、健康寿命が短い

2014.6.03 カテゴリー|その他

 先日、笠間医師会総会に出席しました。その席で、茨城県立こころの医療センターのセンター長の土井先生が興味深いデータを示されました。

 なんと、人口10万人当たりの医師数が多く、一人当たりの医療費が高い自治体ほど健康寿命が短い傾向があるというのです。

健康寿命.医師数.jpg

健康寿命.医療費.jpg

 私が住む茨城県は、人口当たりの医師数は全国でビリから2位(ちなみに1位は埼玉県)、一人当たりの医療費は全国で下から6位ですが、健康寿命は全国4位です。

 医療が充実しているところほど健康寿命が短いということです。医療者として、かなりショッキングなデータです。

 

 ではなぜ、医療が充実しているところほど健康寿命が短いのでしょう。

 土井先生は、現在の標準治療では「睡眠呼吸障害」という重大な病気の診断と治療が出来ていないからだと説明されていました。

 それもひとつの要因だとは思いますが、それだけではこのショッキングなデータを説明できないと思います。私は、現在の標準治療は平均寿命を延ばすためのものであって、健康寿命を延ばすためのものではないことが原因だと考えています。じゃあどうすればよいかと言われてもよくわかりませんけどね。

 ピンピンコロリと死にたいなら、なるべく医者にかからない方がいいってことかな。

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