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おばあさんのおかげで人類が繁栄した

2017.10.03 カテゴリー|その他

 ヒトでは当たり前の“おばあさん”の存在。しかし、繁殖期が終わってからも(閉経後も)長生きするメスは生物界においては極めてまれであり、進化学的に不思議なこととされてきました。近年登場した「おばあさん仮説」によれば、霊長類でヒトだけにみられるおばあさんは、その経験と知恵で子孫繁栄を助けるためのヒトの「進化上の戦略」だったというのです。
 
 この地球上で、ほとんどの生物のメスは生殖年齢と寿命がほぼ一致していて、生殖の役割を終えると程なく命もまた終わりを告げます。しかし、ヒトの“メス”は子供を生み、閉経した後も長く生き続けます。例えば日本人女性の場合、閉経後も約40年近くの人生があります。
 
 おばあさん仮説とは、「繁殖期が終わった女性が長生きするのはヒトの進化上の戦略で、おばあさんの知恵や子育て援助が、娘や血縁者の繁殖の成功率を上げ、子孫を繁栄させてきた。」とする説です。
 
 人間は体重に比べて脳の割合がとても大きいので、出産時に産みやすいように、体が未熟なうちに体外に出てきます。だから、出生後すぐに立ち上がれるような他の動物と違って、離乳後も世話を必要とします。また、思春期ころに体が完成してもなお、社会生活能力は不十分で、独り立ちまで20年近くの年月がかかります。その間、親だけで育てるのは無理なので、その強力な助っ人として、おばあさんがいるというのです。
 
 実際、ヒトでは毎年でも出産が可能であるのに対し、おばあさんのいないチンパンジーは、離乳まで5年かかるため、5年に1回しか出産できないそうです。
 
 ヒトは本来、共同繁殖なのです。しかし、都市化・核家族化が進んだ現在社会では、共同で行うべき子育ては、ほとんど親だけが担っています。人類が生まれて10数万年の間、人類繁栄のために重要な役割を果たしてきた“おばあさん”を有効に活用できていないのです。その結果、少子化が進むのは当然です。元気で経験豊富なおばあさんたちに、地域の子供たちの子育てを手伝ってもらえるような仕組みづくりが、一番の少子化対策になるのかもしれません。
 
 私も子供たちが小さいころはおじいちゃんやおばあちゃんに随分と面倒をみてもらいました。おかげで、元気にすくすく育っています。
 
 
 

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