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慢性痛について閾値(しきいち)をつかって説明します

2018.3.08 カテゴリー|トリガーポイント入門

 前回のブログで、痛みを我慢してから痛み止めを使っても、痛みが閾値より下にならないから痛みが取れないことを説明しました。

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 この痛みが取れない状態が長く続くと、だんだんと閾値が低くなっていきます。

 その結果、普段は痛みを感じないような刺激でも痛みと感じるようになります。

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 この状態が慢性痛です。

 

 慢性痛を治すにはどうしたらいいでしょう。

 トリガーポイント注射などで一時的にでも痛みを消すことで、閾値が徐々に正常に戻っていきます。

 また、慢性疼痛治療薬サインバルタには、下行抑制系の働きを改善することで閾値を正常に戻す作用があります。

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 痛みを我慢していると慢性痛になります。

 慢性痛はなかなか治りません。

 そうならないためには、痛みが出たらすぐに痛み止めを飲むことです。

 それでも良くならなければトリガーポイント注射を受けましょう。

痛みは我慢しないほうがよいことを閾値(しきいち)を使って説明します

2018.3.08 カテゴリー|トリガーポイント入門

 なぜ痛みは我慢しないほうがよいのかを患者さんに説明するとき、中枢感作とか下行抑制系とか難しい専門用語を使っても理解してもらうのは難しいと思います。

 そこで、私は「痛みの閾値(しきいち)」を使ってなぜ痛みは我慢してはいけないのかを説明しています。

 最初にメモ紙に横軸が時間、縦軸が痛みの強さを表すグラフを書きます。

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 痛みは時間とともに強くなっていきます。

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 しかし人間はすべての痛み刺激を痛みとして感じているわけではありません。

 痛みには閾値(しきいち)があり、閾値より下の痛み刺激は痛みとして脳に伝わらないようになっているのです。

 そうじゃないと痛み刺激のせいで脳がパンクしてしまうからです。

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 痛みを限界まで我慢してから痛み止めを使っても、痛みは閾値より下にならないので痛みは消えません。

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 逆に、痛みを我慢せず、痛くなったらすぐに痛み止めを使えば、痛みはすぐに閾値より下になるの痛みは消えます。

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 なので、痛みは我慢せず、痛くなったらすぐに痛み止め使ったほうが良く効くのです。

 痛みを我慢し続けていると、慢性痛になってしまいます。

 次回は痛みの閾値を使って慢性痛の仕組みについて説明します。

サインバルタは五十肩にもけっこう効くみたい

2018.3.05 カテゴリー|トリガーポイント注射

62歳の男性

2週間前に庭木の手入れをしてから右肩が痛くなり当院を受診しました。

画像所見と理学所見から五十肩(肩関節周囲炎)と診断し、肩峰下滑液包ブロックをして、ロキソニンを処方しました。

その後も2週間に1度くらい通院してもらって、トリガーポイント注射なども行いましたが、症状は悪化と改善を繰り返していました。

そうこうしてるうちに3ヶ月経ってしまいました。

すでに慢性痛になっていると診断し、サインバルタ20mg1カプセルを処方しました。

すると1回飲んだだけで痛みは嘘のように消えたそうです。

 

66歳の男性

2ヶ月前から両肩が痛くなり当院を受診しました。

画像所見と理学所見から五十肩(肩関節周囲炎)と診断しました。

この方は、肩の屈曲(腕を前から上に上げる動き)が右110度、左80度しかなく、ひどい肩関節拘縮もありました。

ストレッチのやり方を指導して、肩峰下滑液包ブロックをして、ロキソニンを処方しましたが2週間経ってもちっとも良くなりませんでした。

そこでロキソニンからサインバルタに変更しました。

1週間後、痛みはさっぱり変わらないけど副作用もなかったということで、サインバルタを2カプセルに増やしました。

2週間後、いくらかいいような気がするということなのでサインバルタを3カプセルに増やしました。

3週間後、バッチリ良くなったそうです。肩の屈曲も右140度、左130度に改善していました。

 

サインバルタは五十肩にもけっこう効くみたいです。

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