HOME > 院長BLOG > 魚の目に液体窒素はないよ

院長BLOG

魚の目に液体窒素はないよ

2020.10.30 カテゴリー|湿潤療法

 50代の女性

 2ヶ月くらい前から足の裏に魚の目が出来て近所の皮膚科を受診しました。そこで3回液体窒素による焼却術を受けましたが、痛みがどんどんひどくなり歩くのも困難になったため、1ヶ月後に当院を受診しました。

 初診時の画像を撮り忘れたので、私の書いたイラストで説明します。

4415.pngのサムネイル画像

 中心部の皮膚が黒色壊死になっていて、周囲が赤く腫れ上がっていました。

 液体窒素による3度の熱傷と同部への細菌感染と診断し、局所麻酔で黒色壊死を除去して抗生剤内服を開始しました。

 現在、プラスモイストによる治療を継続中です。糖尿病もある患者さんなので治癒までには時間がかかると思いますが、徐々に創は小さくなっていて痛みも改善して歩けるようになりました。

 

 魚の目(鶏眼)は老化や筋力低下よって足が変形して、足の裏の骨が出っ張ってきて歩くときに皮膚が圧迫されて、皮膚がだんだん硬く厚くなっていくことが原因です。

 足の変形が原因なので、根治する方法はありません。痛みが出たらその都度、ハサミなどで硬くなった皮膚を削り取るしかありません。魚の目を液体窒素で灼いても痛いだけで何の効果もありません。

 

 液体窒素が効くのは、魚の目ではなく疣です。疣はヒトパピローマウイルスが皮膚に感染してできます。

 液体窒素で疣を灼くことでウイルスを殺すことができるし、軽いヤケドを負わせることで炎症反応が起きてウイルスに対する免疫反応を起こすことができます。

 

 魚の目と足の裏の疣は、外見は似ているので素人には見分けがつかないと思いますが、表面を少し削れば医者ならすぐに区別がつきます。

 子供は足が変形してないので魚の目ができることは滅多にありません。大人は疣のウイルスに対して免疫を持っているので足の裏に疣が出来ることは滅多にありません。とりあえず子供は疣、大人は魚の目と思ってもらっていいです。

 

 いくら外見が似ていても魚の目と疣は別物で治療法も違うので、魚の目に液体窒素はあり得ません。ましてや糖尿病がある患者さんの足の裏を3度の熱傷を起こすほど灼くなんて、かなりのヤ(以下自粛)

 

最近の記事

カテゴリー

月別アーカイブ