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恩師S先生

2012.12.05 カテゴリー|その他

 当院では、湿潤療法や、トリガーポイント注射、加圧トレーニングやビオチン療法など、まだほかの医療機関ではあまり行われていない、新しい治療法をたくさん行っています。 

 

自分で言うのもなんですが、僕は考え方が非常に柔軟で、自分で考えて正しいと思ったことは、教科書や学会のガイドラインで否定されていても、どんどん取り入れるようにしています。

 

そんな僕のものの考え方に影響を与えてくれた先生がいます。それは、研修医1年目にパートに行った先の指導医のS先生です。

 

S先生は、他大学の医局出身の先生だったので、処置の仕方やギプスの巻き方、骨折の整復の仕方などが、大学の先輩に教わったやり方と全然違っていました。しかし、S先生のやり方の方が理にかなっていました。そこでひとつ「先輩が教えてくれることが、全部正しいわけじゃない!」ということを教わりました。

 

また、骨折の治療に関しては、その骨折の形態に応じて、独創的な発想で、誰もやっていないような外固定を考案していました。どれも力学的に、従来の方法より正しい外固定方だったと思います。

 

実際、教科書に手術しないと治らないと書かれている、不安定型の鎖骨遠位端骨折を手術しないで治す方法を、考案してうまく治していました。

(学会で、私が演者で発表させてもらい、賞をもらいました。)

 

S先生は、「新しい治療法が思いついたときは、なるべく教科書や過去の論文を読むな」とよく言っていました。

 

教科書や学会のガイドラインに書いてある通りにして、自分の頭で考え工夫することをやめてしまったら、自分自身の進歩が止まってしまいます。それでは、仕事をしていても、面白くないですよね。 

 

ちなみに、S先生のところで研修して、非常に勉強になったので、後輩たちにもS先生のもとで研修するように勧めました。がしかし、実際に研修に行った後輩たちから、「S先生の治療は、めちゃくちゃで勉強にならない」と言われてしまいました。自由で柔軟な発想を理解するには、元からある程度柔軟な頭を持ってないと、ダメなんだなぁ。そういうのも才能の一つなのかな?

「キズは消毒しないと化膿する」は迷信

2012.12.04 カテゴリー|医療に関する迷信

擦り傷や切り傷や、ヤケドなどの怪我をしたとき、化膿しないために赤チンなどで消毒している方が、今でもいるかもしれませんが、消毒しても化膿は防げません。それどころか、消毒はキズの治りを悪くするので、するべきではありません。

 

皮膚に傷があると、そこに化膿の原因になるばい菌(黄色ブドウ球菌など)が繁殖します。キズを消毒すると、一時的にばい菌が減りますが、1時間もすると元に数に戻ってしまいます。つまり、消毒してもばい菌の数を減らすことは出来ないので、化膿を防ぐことは出来ないのです。

 

消毒液は、ばい菌を殺す作用がありますが、それ以上に正常な皮膚の細胞を殺す作用があります。なので、消毒をするとキズの治りは悪くなります。場合によっては消毒することによって、キズがより深くなってしまうこともあります。消毒はするべきではありません。

 

では、どうすれば創の化膿を防ぐことができるのでしょうか?そもそも、キズが化膿するとはどういうことでしょう?

 

化膿とは、皮膚の下にばい菌が入り込んで大量に繁殖している状態です。

 

瘡蓋や壊死組織や皮膚の奥に血腫があると、それを餌にして、ばい菌が大量に繁殖します。なので、瘡蓋や壊死組織を除去し、また、皮膚の下にたまった血腫(血の塊)にはドレーンを入れて、血腫を除去すれば、化膿を防ぐことができます。

 

逆に言えば、瘡蓋や壊死組織や血腫をそのままにして、その上からいくら消毒をしても、化膿を防ぐことは出来ません。

 

「キズは消毒しないと化膿する」というのは迷信です。

 

消毒液と化膿の関係についてもっと詳しく知りたい方は、こちらのHPをご覧ください。

 

新しい創傷治療「消毒について」

http://www.wound-treatment.jp/title_shoudoku.htm

「膝の水を抜くとくせになる」は迷信

2012.12.04 カテゴリー|医療に関する迷信

「膝の水を抜くとくせになる」と思っている方がたくさんいるようですが、これは迷信です。

 

「膝の水を抜くとくせになる」というのは、要するに、「膝の水を抜くと、かえって、膝に水がたまりやすくなる」という意味だと思いますが、それは間違いです。

 

膝に水が溜まる理由は、膝の関節の中で炎症が起きているからです。確かに、膝の水を抜いても、また水が溜まってしまう人もいますが、それは、炎症がおさまらないからです。水を抜いたことで、炎症が悪化して、かえって、水がたまりやすくなった。ということではありません。

 

膝に水が溜まっていて、そのせいで膝に痛みがあるような場合は、水を抜いたほうがいいでしょう。水が溜まっていても、それが痛みの原因になっていなければ、痛い思いをしてまで水を抜く必要はありません。

 

「膝の水を抜くとくせになる」というのは迷信です。

骨粗しょう症患者の腰椎圧迫骨折は、最初はわからないことがある

2012.12.04 カテゴリー|骨折・捻挫の治療

82歳女性

 

膠原病があり、某総合病院のリウマチ科に通院中で、ステロイドを内服中(PSL8㎎/day)のおばあちゃんです。同じ総合病院の整形外科で骨粗しょう症の治療も受けています。

 

7月末に、草むしりをしてから、右腰痛と右臀部痛が出現しました。上がその時のレントゲンです。第12胸椎から第2腰椎が、つぶれていて圧迫骨折になっています。でも、ここは骨硬化もしてて、古い圧迫骨折と思われました。新しい圧迫骨折は、はっきりしませんでしたが、痛がり方やステロイド内服中などから、圧迫骨折とそれに伴う筋筋膜性疼痛症候群と診断しました。

(圧迫骨折の痛みは、寝たり起きたりする時はすごく痛いけど、1度起きてしまえばあまい痛くなくなるという特徴があります)

 

「骨粗しょう症がひどい方は、骨折したばかりの時は、レントゲンでどこが折れているかわからないことが多いので、どこが新しい骨折かは、わかりませんが、おそらく圧迫骨折の痛みでしょう。圧痛部にトリガーポイント注射をして、2週間ほど、なるべく安静にしていれば、痛みがとれると思います。」と説明しました。

 

そして、予想通り、2週間後には痛みがかなり改善しました。

 

しかし、そのあと、某総合病院の整形外科を受診して際、再度腰椎のレントゲンを撮り、

「4年前のレントゲンと比べて変わっていないので、圧迫骨折ではなく、筋肉痛だ。」と言われたそうです。

それで、しばらく当院には通院しませんでした。

 

11月末ごろから、また痛みがひどくなり、当院を受診しました。下がその時のレントゲンです。

5376a.jpg

7月のレントゲンに比べて、第5腰椎がつぶれていて、骨硬化像を示しています。

わかりにくいので、第5腰椎だけクローズアップすると下のようになります。

 

7月のレントゲン5376bbp.jpg                                    

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

12月のレントゲン5376abp.jpgのサムネイル画像

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

7月の腰痛は、第5腰椎圧迫骨折が原因だったのだろうと推測できます。今回の腰痛も、おそらく、正常に見える第3腰椎か第4腰椎が圧迫骨折を起こしているのだろうと思われます。某総合病院の診断より、僕の診断のほうが正しかったのです。

 

ひどい骨粗しょう症のある方は、草むしりをしたくらいでも、あるいは何もしなくても、腰椎圧迫骨折を起こすことがあります。

 

また、そういう方の、圧迫骨折は受傷直後にはレントゲンに写らないこともよくあります。  

 

圧迫骨折の痛みは、「寝たり起きたりする時にすごく痛いけど、起きてしまえばあまり痛くない」という特徴があります。

「糖尿病の人は、痛みを我慢してもウォーキングしたほうがいい」は迷信2

2012.12.02 カテゴリー|医療に関する迷信

昨日かいたブログ「糖尿病の人は、痛みを我慢してもウォーキングをしたほうがいい」は迷信の続きです。

https://nishibori-seikei.com/blog/2012/12/post-137.html

 

現在、糖尿病専門医の間では、食後高血糖が大きな問題として注目されています。従来は空腹時血糖をコントロールしてきたのですが、それだけでは不十分で、食後血糖をできるだけ低く抑えることが大切だというのです。その理由は、食後高血糖が心筋梗塞や脳梗塞などの合併症を引き起こす危険因子として確立されたからです。

 

ウォーキングで食後高血糖を抑えるには、食後すぐにウォーキングをする必要があります。それも、1日3回毎食後ウォーキングしなければ意味がありません。余程暇な人でなければ無理ですね。

 

江部先生によれば、30分のウォーキングで、血糖値が20~60㎎下がるそうです。糖尿病の方は、糖質を1g摂取すると、血糖値が3㎎上昇すると言われています。糖質の摂取を20g減らせば、食後高血糖は60㎎減ることになります。糖質20gは、お米のご飯にすると約50g分です。茶わん1杯が約150gなので、ご飯の量を3分の1に減らすだけで、ウォーキングを30分したのと同じだけ、食後高血糖を抑えることができます。

 

毎食後、ウォーキングするくらいなら、ご飯の量を少しだけ減らしたほうが、ずっと楽ですよね。

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