2013.7.02 カテゴリー|湿潤療法
60代女性
料理中にお湯をこぼして、おなかに火傷をして、すぐに当院を受診しました。
腹部に10×6㎝くらいの水疱が形成されたⅡ度の熱傷を認めました。
水疱膜を除去して、プラスモイストを当て、自宅で交換してもらい、3日に1回程度通院してもらいました。
治療開始、5日目の写真です。ヤケドの中の毛穴から皮膚が再生されてきているのがわかります。
さらに3日後の写真です。毛穴から再生されてきた皮膚がつながって、皮膚がほぼ再生されました。
浸出液がほとんどなくなったので、被覆材料をプラスモイストからハイドロコロイドに変更しました。
さらに3日後の写真です。(治療開始11日後)きれいに治りました。
わずかに残っている黒ずみも、半年くらいで目立たなくなるでしょう。
湿潤療法なら、Ⅱ度の熱傷も、こんなに早くきれいに、痛みなく治ります。
かつて、消毒と軟膏とガーゼで治療していたころは、このような毛穴から皮膚が再生される状態を見たことがありませんでした。
なぜなら、消毒も、抗菌剤入り軟膏も、ガーゼによる乾燥も強い組織障害性があり、毛穴から再生された新しい皮膚を殺してしまうからです。
だから、治りが悪く、痛いのです。そして、2週間たっても治らなかったら植皮術をされ、醜い傷跡を残します。