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院長BLOG

馬に食わせるほど薬を飲んでいる高齢者について

2015.9.10 カテゴリー|その他

 外来を受診する高齢者にお薬手帳を見せてもらうと、10種類も20種類も薬が処方されている方が時々います。「これじゃ薬だけで腹一杯になって、ご飯食えないんじゃないの」なんて冗談を言ったりしていますが、冗談じゃなくこんなに薬を飲んでいたら薬の副作用や相互作用で余計具合が悪くなるんじゃないかと心配になります。患者さんは出された薬を飲んでいるだけだから仕方がないのですが、問題はたくさんの薬を出す医師です。「何でこんなに薬を出すのだろう?調剤薬局からキックバックでももらってんじゃないかな」なんて考えていましたが、今朝、夏井先生がご自身のウェブサイトで、その理由に2対8理論を用いて見事に説明していました。

http://www.wound-treatment.jp/new.htm#0910-06:00-5

 高齢者で山ほど薬を処方されている患者さんが少なくありませんが,これも「何か起きたらどうする」と考える医者が8割を占めているからでしょう。こういうタイプの医者の特徴・共通点は「薬の足し算はできても引き算ができない」ことにあります。
 何かの薬を処方して,それで合併症や体の不調(例:鎮痛剤による消化器症状)が発生した時,その合併症や不調を治す薬を加えようとしますが,不調の原因である薬を中止するという発想は浮かびません。「今飲ませている薬を中止して,何か起きたらどうする」と考えるからでしょう(逆になぜか,「新しい薬を加えて何か起きたらどうする」という発想だけは浮かばないのが不思議)。

 私は新しい物好きの2割なので、糖質制限も湿潤療法もやっているし、トリガーポイント注射やビオチン療法、加圧トレーニング、シャンプーレスもやっています。だから薬も必要最小限しか処方しないように常に心がけています。新しい薬を増やすときは、今まで飲んでいた薬を減らすようにしています。副作用が出たときも、基本的には薬を中止して、別の薬を出すようにしています。

いきなり大病院に行っちゃダメだよ

2015.9.03 カテゴリー|トリガーポイント注射

 60代の女性

 右膝がすごく痛くなって歩けなくなったので、某総合病院の整形外科を受診しました。そこで若い医師の診察を受け、

「レントゲンとMRIで軟骨が減っているといるから、関節鏡の手術をやって、それでも痛みが取れなければ人工関節全置換術をやらなければ治らない。」

 といわれました。そして、痛み止めの飲み薬どころか、湿布すら出してもらえなかったそうです。せめて痛み止めの飲み薬を出してほしいと頼んだら、

「痛み止めを2,3年も飲むと副作用が出るから出せない」

 といわれました。仕方がないので1週間、安静にして様子をみていましたが、痛みは全くとれなかったので、再診した際に、何とか痛みだけとる方法はないかと聞いたら、

「痛みは年が若くならない限りよくならない」

 といわれたそうです。

 1ヶ月ほど通院しましたが痛みはひどくなる一方だったので、当院を受診しました。

 初診時は右股関節から膝の痛みのため、歩行器がなければ歩けない状態でした。下図の位置にトリガーポイントを認めました。

331.jpg

 

 トリガーポイント注射をして、痛み止めの飲み薬と湿布を処方しました

 1回目の注射で膝周囲の痛みはだいぶ取れて、歩行器なしで歩けるようになりました。近所の方だったので毎日に注射に通ってもらって、2週間後には、すたすた歩けるようになるまで回復しました。

 

 しかし、某総合病院の若い先生、歩けないほど痛がっている患者さんに痛み止めも出さないって、いったい何なんでしょうね。

 整形外科は痛みの治療のプロフェッショナルのはずですが、この若い医師は痛みの生理学についての勉強が不足しています。痛みは骨や軟骨の変形が原因だから、手術してそれを治さなければ治らない、痛み止めなんか飲んでも無駄だと思っているのかもしれません。

 まさか、痛みの生理学についてちゃんと知っているけど、手術がやりたいがために、あえて治療しなかったなんてことはないと思いますが・・・・

 

 紹介状もなくいきなり大病院に行くと、こういう経験不足の若い医師の診察を受けることになります。

 開業医のほとんどは、病院で部長や副部長を経験したベテラン医師です。診断と治療に関して若い医師より圧倒的に上手です。死ぬほどが具合が悪いとき以外はまず開業医を受診しましょう。いきなり大病院に行っちゃダメだよ。

スポーツは健康のためじゃなく楽しむためにやるものです

2015.9.01 カテゴリー|医療に関する迷信

今日はこのエントリーの紹介


スポーツは健康に悪い 女性アスリート2割が疲労骨折を経験

http://blogos.com/article/131110/


 スポーツが健康に悪いという意見におおむね賛成です。

 スポーツをしてなければならない病気や怪我がたくさんあります。このエントリーに書かれている、女子マラソンランナーの骨粗鬆症などもそうですが、野球選手に多い投球肩や野球肘、サッカー選手や格闘技選手に多い膝前十字靱帯断裂などは、スポーツをしていなければまず起こさない怪我です。若い頃のスポーツのやり過ぎによる怪我が原因で、まだ中年なのに肘や膝や足首などの関節が、後期高齢者なみに変形している患者さんをたくさんみてきました。

 スポーツは健康のためにやるのではなく、楽しむためにやるものです。

 私もゴルフをやりまくっていますが、健康のためにやっている訳じゃなく、ゴルフが楽しくて仕方ないからやっているのです。ゴルフのやり過ぎで腱鞘炎になったり、腰痛になったりしていますが、そんなの注射すれば治るからと、全然休まずゴルフをやりまくっています。ゴルフをしていて、バーディをとれたり、ロングパットが入ったり、アプローチがベタピンしたり、ドライバーがうまく当たってボールがぶっ飛んでいったときなど、超気持ちがいいので、精神的ストレスが吹っ飛びます。

 逆に、健康のためといって、膝が痛いのに無理してウォーキングを毎日何時間もやっている高齢者がいますが、本末転倒もいいところです。

 以前も書きましたが、ウォーキング程度の運動では何時間やっても筋肉を鍛えることはできませんし、消費カロリーも少ないのでダイエット効果もほとんどありません。ウォーキングが楽しくて楽しくてしょうがないというなら別ですが、そうでないなら痛みを我慢してまでやる価値はありません。

 筋肉を鍛えたければ加圧トレーニングをしましょう。やせたければ糖質制限をしましょう。

 健康のためにといって、楽しくもないスポーツや運動をするのは余計ストレスがたまるだけです。それで怪我をしたら馬鹿丸出しです。

 スポーツは健康のためじゃなく楽しむためにやりましょう。

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