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希望は痛みを癒やし、絶望は痛みを悪化させる

2017.10.03 カテゴリー|トリガーポイント注射

 昔から「病は気から」と言われています。医者がそんなことを言うと「医者のくせに非科学的なことを言うな!」と叱られそうですが、近年の医学研究で、腰痛や肩こりなどの痛みやシビレは気(心)と密接な関係があることが証明されています。
 
 肩こりや腰痛、膝や肩、肘などの痛みのほとんどは、筋肉の緊張(トリガーポイント)が原因です。疲労や、ストレス、運動不足、使いすぎなどが原因で筋線維の一部の血の巡りが悪くなり、筋肉が緊張して痛みが発生します。
 
 痛みがあると、痛み自体が不安やストレスとなり、交感神経の働きを過剰にして、筋肉をさらに緊張させ、痛みをもっと強くするという悪循環におちいってしまうことがあります。
 
 心配性で痛みを過度に心配する人や、神経質で痛みを過度に気にする人、痛みのために欝(うつ)になってしまう人などは、治りが悪くなる傾向があります。逆に楽天的で、痛みをあまり心配しない人や、気にしない人、治療に前向きな人は早く良くなる傾向があります。
 
 ここで、誤解をされては困るのですが、患者さんがなかなか良くならないことを、患者さんの性格のせいにしているわけではありません。また、痛みは気のせいだから我慢して自分で治せと言っているわけでもありません。
 
 痛みの中には、癌や感染、骨折などが原因の重篤なものもありますから、医師の診察や検査を必ず受けるべきです。
 
 しかし、それらの重篤な疾患ではなく、筋肉の緊張が原因の痛みであった場合は、痛みに対する考え方やとらえ方を変えるだけで、痛みを早く治すことが出来るということを、知ってもらいたいのです。
 
 具体的には、痛みの治療を受けて、ほんの少しでも痛みが楽になったときは、「痛みがいくらかは楽になった。」と喜び、「このまま治療を続ければ、だんだん良くなるだろう。」と希望を持つことです。これだけで痛みの治りが早くなります。
 
 希望を持つと自律神経のはたらきがよくなり、筋肉の血の巡りが良くなり緊張がほぐれ、痛みが楽になるのです。
 
 逆に、少しは痛みが良くなっているのに、残っている痛みを苦にして、「いくら治療しても痛みが取れない。」と落胆していると、自律神経のはたらきが悪くなり、痛みが治りにくくなります。
 
 治療に対して希望を持つには、痛みを我慢せずになるべく早くに、医師の診察を受け、飲み薬でも、注射でもやれることは何でもやって、“痛みが楽になった”という実感を持つことが大切です。
 
 そしてもっと重要なことは、医師への信頼です。実際に、知人に勧められて当院を受診した患者さんは、最初からある程度、私の治療を信頼してくれているので、他の患者さんに比べて治りが早い傾向があります。
 
 今後も皆様の信頼が得られるように努力を続けていきますので、よろしくお願いいたします。
 

おばあさんのおかげで人類が繁栄した

2017.10.03 カテゴリー|その他

 ヒトでは当たり前の“おばあさん”の存在。しかし、繁殖期が終わってからも(閉経後も)長生きするメスは生物界においては極めてまれであり、進化学的に不思議なこととされてきました。近年登場した「おばあさん仮説」によれば、霊長類でヒトだけにみられるおばあさんは、その経験と知恵で子孫繁栄を助けるためのヒトの「進化上の戦略」だったというのです。
 
 この地球上で、ほとんどの生物のメスは生殖年齢と寿命がほぼ一致していて、生殖の役割を終えると程なく命もまた終わりを告げます。しかし、ヒトの“メス”は子供を生み、閉経した後も長く生き続けます。例えば日本人女性の場合、閉経後も約40年近くの人生があります。
 
 おばあさん仮説とは、「繁殖期が終わった女性が長生きするのはヒトの進化上の戦略で、おばあさんの知恵や子育て援助が、娘や血縁者の繁殖の成功率を上げ、子孫を繁栄させてきた。」とする説です。
 
 人間は体重に比べて脳の割合がとても大きいので、出産時に産みやすいように、体が未熟なうちに体外に出てきます。だから、出生後すぐに立ち上がれるような他の動物と違って、離乳後も世話を必要とします。また、思春期ころに体が完成してもなお、社会生活能力は不十分で、独り立ちまで20年近くの年月がかかります。その間、親だけで育てるのは無理なので、その強力な助っ人として、おばあさんがいるというのです。
 
 実際、ヒトでは毎年でも出産が可能であるのに対し、おばあさんのいないチンパンジーは、離乳まで5年かかるため、5年に1回しか出産できないそうです。
 
 ヒトは本来、共同繁殖なのです。しかし、都市化・核家族化が進んだ現在社会では、共同で行うべき子育ては、ほとんど親だけが担っています。人類が生まれて10数万年の間、人類繁栄のために重要な役割を果たしてきた“おばあさん”を有効に活用できていないのです。その結果、少子化が進むのは当然です。元気で経験豊富なおばあさんたちに、地域の子供たちの子育てを手伝ってもらえるような仕組みづくりが、一番の少子化対策になるのかもしれません。
 
 私も子供たちが小さいころはおじいちゃんやおばあちゃんに随分と面倒をみてもらいました。おかげで、元気にすくすく育っています。
 
 
 

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