2019.1.18 カテゴリー|骨折・捻挫の治療
小学6年生の男子
硬式野球をしていて、右手首にデッドボールが当たりました。
痛みがあるため、翌日に当院を受診しました。
初診時のレントゲンです。
目をこらしてみても骨折はありませんでした。
「子供の骨折は最初写らないことがあるから、痛かったらまた来てね」と説明して湿布を処方しました。
一度、痛みは治まりましたが、1週間後にボールを投げたらまた痛みが出ました。
ちょうど年末年始の休診と重なってしまったため、受傷約2週間後に再受診しました。
そのときのレントゲン
矢印のところに、骨折線と仮骨を認めました。
「骨折してました。もう治りかけているからギプスは巻かないで経過を見ます。野球はやらないでね。」と説明しました。
さらに1週間後のレントゲンです。
仮骨がしっかりと形成されています。
「もうくっついたから、野球をしてもいいよ」と説明して治療を終りにしました。
子供の骨は柔らかいので、折れていてもレントゲンに写らないことがあります。
子供の骨折は最初のレントゲンでわからないことがあるので、痛みが続くときは再度レントゲンをとりに来てください。
2018.12.10 カテゴリー|骨折・捻挫の治療
中学生の男子
自転車で転んで受傷しました。
某総合病院の救急外来を受診してレントゲンを撮り、大きく転位した橈骨遠位部骨折を認めました。救急医が同院の整形外科医に電話で問合せをしたところ、「シーネ固定をして、明日近くの整形外科を受診するように説明してください。」と指示をうけました。
救急医は指示通りシーネ固定して当院宛の紹介状を書いてくれました。
翌日当院を受診しました。私は持参したレントゲンのコピーを見てびっくり!
「すげぇずれてんじゃん。」
「骨折がすごくずれているので、局所麻酔をしてから整復します。うまく戻ればそのまま外固定で治療しますが、うまく戻らないときや、すぐにずれちゃうときは、手術が必要なのでもう一度某総合病院に紹介します。」と説明しました。
血腫内ブロック(骨折部の内出血部に局所麻酔薬を注入して麻酔をかける方法)で麻酔をしてから、テレビレントゲンで確認しながら骨折を整復しました。
それなりにうまく整復できたのでシーネ固定しました。
経過中、再転位することもなく3週間後のレントゲンで仮骨(骨折をくっつける新しい骨)が十分に形成されていたのでシーネを外しました。
私の腕がいいおかげでうまく治ったからいいけど、私が勤務医だったころにこんなひどい骨折を開業医に紹介したことは一度もないなぁ。
というか、救急外来に骨折の患者さんが来たと当直医から相談を受けて、電話で済ませたことは一度もなかったと思います。必ず、病院に駆けつけて自分で治療しました。当時はそれが当たり前だと思っていたし、自分がすぐに駆けつけることで、自分自身が困ったときに、内科や外科の先生にすぐに来てもらえるからです。
某総合病院のような大きな病院の救急外来の仕組みは、私がいたような中規模の病院とは違うのでしょうね。
2018.12.03 カテゴリー|骨折・捻挫の治療
サッカー部の中学生
部活中に転倒して受傷しました。
近くの整形外科を受診して、「右肘の骨が折れているから、肘の上から手首の先までシーネ(添え木)と包帯で固定する。腫れているから、毎日包帯を外して湿布を交換するように。」と説明され、シーネと三角巾で固定されて湿布を処方されました。
両親が、その説明に不安を覚えたため、翌日当院を受診しました。
レントゲン上、肘の内側に剥離骨折を認めました。
「湿布に腫れをひかせる効果なんかないから、湿布交換は意味がありません。むしろ、外したときに骨がずれる危険性があります。また、骨折の形態から手首を固定しても意味がないので、手首は動かせるようなシーネを作り直します。その分、手首や指をどんどん動かしてね。鉛筆を持ってもいいよ。三角巾していると肩を動かさないせいで肩や首に痛みが出るから三角巾でつるしちゃダメだよ。」と説明してシーネ固定しました。
骨折がずれてしまうリスクを冒してまで、シーネを外して湿布を交換する理由がよくわからない。
骨折したところが腫れるのは、骨折した骨から出血してその血液が皮膚の下や筋肉の中に溜まるからです。
湿布にその溜まった血液を減らす効果はありません。なので全く無意味です。
腫れをひかすためには、患部の血の巡りを良くすることが一番です。
指や手首をどんどん動かすと筋肉のポンプ作用で血の巡りが良くなります。
なので、シーネは必要十分な範囲でしっかり固定して、それ以外の部分はどんどん動かしてもらいます。
三角巾を使うと、肩だけじゃなく手首や指も使わなくなるので、やっぱり三角巾も使わないほうがいいです。
湿布には痛み止めとしての効果がありますが、骨折の痛みはシーネ固定をしっかりすれば無くなるので、やはり湿布を貼る意味はありません。
シーネを外して湿布を交換しても腫れは引かないし、骨がずれる可能性があるからやっちゃダメだよ。
2018.9.14 カテゴリー|骨折・捻挫の治療
骨折や捻挫の治療でシーネ固定をしたときは、
「シーネの包帯は素人でも外せるけど、元通りに巻けないから絶対に外さないように!勝手に外した場合は、人が変わったように怒るよ。」
と説明しています。
それでも勝手に外してしまう人がいます。そんなときは、本当に人が変わったように怒ります。
実際に私がシーネを巻くときは手際よくちょちょいと巻いちゃうので、誰でも出来るように見えるかもしれませんが、そうじゃありません。
骨折にたいして、どこに力を加えれば一番しっかり固定できるか力学的視点で考えながら、包帯を順番や巻く強さや範囲を決めています。
なので医者になって20年以上になりますが、包帯の巻き直しは一度たりとも看護婦さんに任せたりせずに必ず自分でやってきました。
1年くらい前です。
女の子の手首の骨折にシーネを巻きました。
1週間後再診してもらった際、包帯が下手くそに巻きなおされていたので、人が変わったように怒ったら、
「緩んだから看護婦の姉に巻きなおしてもらったから問題ないでしょう!」
とお母さんが逆ギレしてきたので、
「その看護婦さんは私と同じくらい骨折の治療の経験と知識があるんですか!だったらその看護婦さんに治してもらえばいい!」
と逆ギレ返ししました。
そしたら、ネットの口コミサイトに悪口を書かれちゃった。
なので、今後は「包帯を勝手に外したら、ネットに悪口を書かれるくらい怒るよ!」と説明することにしました。
シーネの包帯は勝手に外さないでくださいね。
緩んだときは私が巻きなおすから再診してくださいね。
2018.7.19 カテゴリー|骨折・捻挫の治療
20年くらい前
私がまだ勤務医だった頃に、ホストクラブでホストと腕相撲をして、右上腕骨を骨折して入院した女の子がいました。
力比べで腕相撲をする人は多いと思いますが、腕相撲は意外と危険なスポーツです。
腕相撲をしていて、上腕骨(二の腕の骨)を骨折する人がたくさんいます。
特に、飲み会で酔っ払った勢いで腕相撲をして骨折する人がけっこういます。
素人が腕相撲をすると、腕の力だけで相手の腕を倒そうとするので、上腕骨をねじる力が強くかかります。そのねじる力に耐えられなくなり上腕骨が真ん中あたりで螺旋状に骨折します。
私も学生時代に上腕骨を骨折しているので(腕相撲じゃなく疲労骨折ですが)その痛さをよく知っています。
「知っていることは何でも話すから、もう許してくれ」って思うくらい痛いです。
アームレスリングの選手たちは、そもそも分厚い筋肉で骨を守っていますし、フォームが全然違います。
肘を深く曲げて、脇の下を締めて上腕を胸の前にあて、体全体で相手の腕を押します。
正しいフォームでやれば上腕骨にねじれる力はかかりません。
それに、腕だけでやるより何倍も力が入ります。
腕相撲をやるときは正しいフォームを身につけてから、ちゃんとアームレスリング台の上でやりましょう。
けっして、飲んだ勢いでやらないでください。
それにしても、お客さんの腕を折っちゃうとか、どんだけ間抜けなホストだよと思うでしょ。
そしたら、その女の子が入院中に診せてくれた彼氏の写真が、そのホストだったときは、まじでびびった。
「それ絶対だまされてるよ。」って言ったけど、全然聞く耳持たなかったな。
骨折はうまく治せたけど、私生活には口出せないからね。元気にしているといいけど。