2017.4.11 カテゴリー|骨折・捻挫の治療
バスケ部の中学生
バスケ中に突き指したといって当院を受診しました。
レントゲン上、小指中節骨近位骨幹部に骨折を認めました。
プライトン固定をしました。
「腫れが引いてきて緩くなって、指からプライトンが抜けてしまったら、また指輪のようにはめてね。」
と説明しました。
1週間後に再診したときに、患者さんの指にプライトンはついていませんでした。
理由をきたら、「いつの間にかなくなった」と悪びれもなく答えました。
開いた口がふさがりませんでした。
レントゲンを撮ったら、案の定、骨がずれていました。
けっこうずれていますが、まだ成長期なので自家矯正される可能性が高いので、このまま外固定しました。
骨折がずれないために外固定しているのだから、勝手に外したりしたらダメなことくらい、説明されなくてもわかると思うんだけどねぇ。
2017.3.28 カテゴリー|その他
3月26日に当院において、外固定の講習会を行いました。
とは言っても、主催は治療家広場というサイトを運営している志賀隆洋先生で、私は頼まれて講師をしただけですけどね。
治療家広場 http://chiryouka-hiroba.co.jp/
柔道整復師の先生が13名参加されました。
突指、母指MP関節捻挫、第5中足骨基部骨折に対するプライトン使用した外固定のやり方と、手首の骨折、足首の捻挫に対するオルソグラスⅡを使用した外固定のやり方を、まず私が見本を見せてから、各自に実技をしてもらいました。
皆さん非常に熱心で、細かいところまで質問を受けて楽しかったです。
勤務医のころは、後輩に自分が覚えた知識や技術を教えることが大好きだったのですが、開業して1人でやるようになったらそれが出来なくて、せっかく新しい知識や技術を身につけても伝える相手がいなくて残念に思っていました。
志賀先生のお陰で、それが出来てとても楽しかったです。
志賀先生、ありがとうございます。
今回の講習会に、固定材料を提供してくれた。
レガーレの岩野さん、シグマックス、アルケア、BSN各社の皆さん、ありがとうございました。
2017.1.12 カテゴリー|骨折・捻挫の治療
10歳の女児
大縄飛びをしていてひねって受傷しました。
レントゲン上、右第5中足骨遠位骨幹部に骨折を認めました。
プライトンで外固定しました。
3週間後、仮骨が出来たのでプライトンを外しました。
プライトンは65度以上に温めると柔らかくなり、冷めると硬くなる特殊なプラスチックで出来ています。
網目状に穴が開いているので通気性に優れていて、肌に直接巻いても湿疹などになりにくいため、その他のプラスチックギプスやプラスチックシーネに比べて、外固定を小さくすることが出来ます。
この患者さんの場合も、プライトンの上から靴下も靴も履くことが出来ました。
手や足、指などの骨折の固定に非常に便利です。
強度がやや弱いので、肘や膝などの力がかかる関節の固定にはむいていません。
2016.12.01 カテゴリー|骨折・捻挫の治療
75歳の男性
3日くらい前から急に右足の甲が痛くなったと当院を受診しました。健康のために毎日5kmもウォーキングをしているそうですが、かなり太った方です。
触診で第2中足骨の骨幹部に圧痛を認めました。
初診時レントゲンです。
特に異常は認めませんが、症状から疲労骨折と診断し、ウォーキングをやめてなるべく安静にするように指導しました。
安静により痛みは若干軽快しました。
1週間後レントゲンです。
はっきりした異常は認めませんが、矢印のところにわずかにヒビが入っているようにも見えます。引き続きなるべく安静にするように指導しました。
2週間後には痛みはだいぶ良くなりました。
2週間後のレントゲンです。
矢印のところにぼんやりと仮骨(骨とくっつけるための新しい骨)が見えます。やっぱり疲労骨折でした。
1ヶ月後には痛みは消えました。
1ヶ月後のレントゲンです。
疲労骨折していた部分に仮骨が出来て、骨が倍くらいの太さになっています。
骨がくっついたと判断し、運動を許可しましたが、ウォーキングではなく、なるべく足に負担がかからないエアロバイクや水中ウォーキングを勧めました。
何度も書いていますが、ウォーキングはたいした運動じゃないのでダイエットにもならないし、筋肉もつきません。でも、骨には負担がかかるので疲労骨折を起こすリスクがあります。
痩せたければ糖質制限をしましょう。筋力をつけたければ加圧トレーニングをしましょう。
2016.11.01 カテゴリー|湿潤療法
30代の男性
東北地方の山奥で渓流釣りをしていて転倒し、右中指のPIP関節を開放性脱臼しました。開放性脱臼とは、関節が外れて、関節の骨が皮膚を突き破って外に飛び出している状態です。近くの病院に救急搬送され、靱帯再建術(?)と創外固定術を受けました。40日後に創外固定を外して退院しましたが、PIP関節が90度の状態で動かなくなっていました。
リハビリ目的で、現住所の近くの総合病院の整形外科に紹介されましたが、「リハビリでは動くようにはならない」と説明を受け、腱剥離術を受けました。その後、手術部の皮膚が壊死してきたため、再手術(植皮術?)が必要だと説明されたため、ネットで調べて練馬光が丘病院の夏井先生の外来を受診しました。「湿潤療法で治るでしょう。」と説明され、プラスモイストを患部に当ててもらい、自宅に近い当院に紹介されました。
初診時の画像です。
創の中央部に白色壊死を認め、その周囲の皮膚はただれてびらんになっていました。創周囲のただれは、消毒薬による接触性皮膚炎と診断し、マイザー軟膏を塗布してプラスモイストで指全体を覆いました。
4日後の画像です。
周囲のびらんは改善しました。抜糸をして白色壊死を溶かすために被覆材をハイドロコロイドにへんこうしました。
初診時より2週間後の画像です。
白色壊死は溶けて無くなり、屈筋腱が見える状態になりましたが、このままハイドロコロイドによる湿潤療法を続けました。また、同時にハンドインキュベータによる可動域訓練も開始しました。
初診時より4週間後の画像です。
初診時より7週間後の画像です。
初診時より10週間後の画像です。
屈筋腱も隠れて、上皮化したので湿潤療法を終りにしました。
現在もハンドインキュベーターでリハビリ中です。30度くらいは動くようになりましたが、元通りに戻るのは難しいと思われます。PIP関節の周囲は腱や靱帯が複雑かつ繊細に絡み合った構造をしているので、一度壊してしまうと元通りに戻すのはなかなか難しい場所なのです。
ハンドインキュベーターとは手のリハビリ用の機械です。空気圧をかけて、手の浮腫をとりながら自動運動をしてもらうので、外傷後の可動域制限の改善や、CRPSによる痛みや浮腫に非常に有効です。
ハンドインキュベーター
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